研修内製化のメリットと事例紹介
「研修内製化」。
すでに軌道に乗っているよとおっしゃる組織もあれば、
あぁ最近よく聞くねぇ、という方もいらっしゃることでしょう。
組織力強化に人材の育成は必須。
その人材育成を、外注、つまり、「市販されている研修」に頼っていてもいいのでしょうか。
大前提としては、研修が課題解決へのソリューションとなるのか?という分析は欠かせません。
そもそも研修を行っても解決しないのであれば、ムダですから。
研修だけで解決しようとするにしても、
研修以外のアプローチ(採用や配置を見直す、人事制度的なこととからめる、など)と組み合わせるにしても、
研修が何らかの解決に貢献すると確信が持てて初めて、内製なのか、外注なのかを検討することになります。
もちろん、外部のリソースをうまく活用することもとても大切なので、
すべて内製が良いというわけではありません。
例えば、法的なことなど高い専門性を求められる内容、
最新のテクノロジーや技術など、社内にそのリソースが求められない場合、
社外の優位性を組織内に取り入れていきたい場合、
一度きりのことであったり、大規模すぎてリソースが確保できない、など、
外注することが適切なもの・ケースも多くあります。
一方、
企業文化に関わること。
組織の差別化、競争優位性に関わること。
継承していきたい知識やスキル。
それらは内部のリソースを活用して、「内製化」が適切なのではないでしょうか。
見方を変えれば、内製化って、そんなに「特別な」ことではないように思います。
差別化や競争優位性を高めるために、自社ならではの知識やスキルを教えていく。
社員が社員を教えることで、
「うちの会社ではこんな知識・スキルが求められている」というメッセージが明確になる
社内講師を任される人が、お手本・目指すべき先輩像を形成していく
教えることを通して、社内講師もさらに成長し、優れたリーダーになる
「教えること・育てることは仕事の大切な一部である」という大切なメッセージの発信になる
長期的には、人を育てる組織文化の定着につながり、組織力が高まる
・・・これ、どこの組織も実現したいことではありませんか?
先延ばしするのか、今から取り組むのか。先で得る違いは大きいはずです。
「内製化」を成功させるには、大きく分けて3つの分野が考えられます。
1) 企画・開発
2) 講師養成
3) 仕組み化と運営
1)は、組織内に存在する知識・スキル、強み、継承していきたいこと、醸成したい組織文化・・・
それらを特定し、ニーズ分析し、研修で取り扱うことを特定し、デザインしていく分野。
2)は、社内講師を教える人を選定し、教え方を学んでもらい、講師の質を高める分野。
3)は、人事制度などとうまく連動させながら、研修がやりっぱなしにならないような仕組み化を進め、
研修の効果測定もしながら運営していく分野。
ダイナミックヒューマンキャピタルは、その3つの分野において、
ご支援・コンサルティングをご提供しています。
研修内製化の成功のコツについて、ボブ・パイク氏と中村のインタビューが
「人材教育」2014年3月号に掲載されました。詳細はこちら
以下にこれまでのプロジェクトの中から事例をご紹介します。
【ケース1 新入社員研修】
プログラム概要: 新入社員対象のビジネスマナー研修。1日研修。
業界: 金融
サポート概要: これまでは一般的なビジネスマナー研修を研修会社に外注していた。
自社の文化、接客方針・マナーなどを盛り込んだ内容にしたい、とのことで内製化することに。
社内でトレーナー養成ワークショップを実施し、その後、当新入社員プログラムの教え方を学ぶ
「社内講師養成」を開催、20名程度ご参加。
内製化のポイント: 一般的ないわゆる「マナー研修」から、自社の企業文化を反映させた内容へ。
また教え方につても参加者主体の手法を用いて、「主体的に」かつ「楽しく」学べる研修へと生まれ変わらせる。
【ケース2 企業文化に関する研修】
プログラム概要: 企業文化を学ぶ1泊2日研修。(1日目午後、2日目午前のため実質は1日研修)対象者は全社員
業界: 製薬
サポート概要: これまでの研修は、担当していた社内講師が作成していたもの。
担当者が代わったことをきっかけにプログラム内容を再検討することに。
文字びっしりの200枚程度のスライドを「説明」するスタイルが主であった。
内容を再検討し、プログラムの目的、流れ、コンテンツの整理。
参加者主体のボブ・パイクの手法を用いて、「講義」を減らし、「参画」「アウトプット」の多い研修へと改訂。
教える担当者は1人(ブートキャンプ受講済み)のため、その担当講師に進め方を個別指導。
内製化のポイント: 「企業文化」なので、歴史や創業者の想いを「語り伝える」スタイルの研修だったが、
参加者へ期待する行動変容を明確にし、そこに焦点を当てたアクティビティを盛り込んだ。
大量の資料を「説明」するのではなく、課題に対しての参考資料とし、
自らで読んだり考えたりする材料にし、グループ討議、意見交換などのワークに変化させた。
【ケース3 階別研修】
プログラム概要: コーポレートユニバーシティにおける階層別研修。
業界: サービス業
サポート概要: コーポレートユニバーシティ立ち上げに際し、階層別研修を導入。
6階層のうち、下から4階層対象の階層別研修を作成、および実施。
将来的には社内講師を養成し、下2階層は社内講師が教える予定。
内製化のポイント: 階層別研修というと一般的な内容になりがちだが、できるだけ「自社らしさ」を出すために、
企画の段階でステークホルダー全員を巻き込み、企画ミーティングを開催した。
そのメンバーで各階層への期待行動、研修コンテンツに何を入れるかに初期段階で合意を得た。
「階層別」=「必須」であるため研修に対してネガティブに思う社員が出ないよう、
ボブ・パイクの参加者主体の手法を使い、楽しく主体的に学べる研修を目指した。
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