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否定しない

「否定せずに聞いてもらえたのが良かった」

研修のアンケートで頻繁に見かけるコメントの一つです。
参加者の発言に対して、講師が否定しなかったのが良かった、という意味です。

このコメントを拝見すると、いろいろなことを考えてしまいます。

「相手を否定せず、最後まで話を聞く」

傾聴、共感、コーチング、などでは、
基本中の基本として言われることです。
この重要性に反論する方はいないだろうというくらい、
広く一般的に言われていることだと思います。

でも、研修のアンケートには上記のようなコメントがあるのです。

おそらく、これまでの研修参加経験で、
「否定された」経験があるから、そう感じたのだろうと推測してしまいます。

どのような場面でどう否定されたのかまではわかりませんが、
教える立場にある方は、参加者が「否定された」と感じている瞬間があることに
気づいているでしょうか。

気づいてはいても、研修なのだから、間違った答えはそのままにできないし、
訂正し、正しい答えを伝えなければいけないから、仕方ないと
思っていらっしゃるのかもしれません。

確かに、間違った情報をそのままにするのは良くありません。
ですが、「否定された」と感じ、
もしその人の自尊心が傷ついていたり、
やる気をそいでいたりするのであれば、
その正しい情報を伝える方法が間違っていたといわざるを得ないと
私は考えています。

「否定された」とネガティブに感じないよう、正しい方向に導くためには、
課題や話し合いのテーマの設定、発表の仕方などに工夫が必要です。

研修というのは、
参加者が持っている間違った認識を正す、や、
参加者が知らない情報を講師が提供する(上から目線の意味で)、
ということが研修ではありません。

「否定せずに聞いてもらえたのが良かった」というコメントを見るたびに、
世の中から「嫌な」研修が一つでも少なくなるように、
これからも活動を続けていきたい!と心を新たにします。

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