変化の波を実感!
前回のブログで、ボブ・パイク・グループのカンファレンスの参加報告をさせていただきましたが、
今回はその「番外編」です。
前回のブログはこちら → BPGカンファレンス2018参加報告
アメリカで開催されるこのような人材開発担当者向けのカンファレンスに参加するのは、約1年半ぶりでしたが、
そこで感じた変化の波について共有したいと思います。
一つが、「ビジネスモデルの変化に伴う人材開発への影響」、
二つ目が、「モバイルラーニングやマイクロラーニングの波」です。
まず「ビジネスモデルの変化に伴う人材開発への影響」について。
IoT、AIにより、人の働き方が変わる、機会に置き換わる職業があるということは言われ始めて久しいですが、
今回いろいろな場面でそれを改めて実感しました。
例えば、空港。航空会社でのチェックイン、出国・入国手続きなど、
ほんの数年前までは人が行っていたことが、ほぼ機会に置き換わっていました。
日本への入国の手続きも、機会にパスポートを読み取らせて終わりです。
パスポートにスタンプが欲しい人はこちらへ、という表示がありましたが、必要なければ機会操作のみです。
以前、入国・出国審査の仕事をしていた人たちは今はどんな仕事をしているんでしょうね・・・。
またUberの浸透が一気に進んでいる印象を受けました。
街中でタクシーをみかけることはなく、ショッピングモールのタクシー乗り場は撤去され、
Uber乗り場に置き換わっていました。
唯一、空港にはタクシー乗り場が残っていましたが、
料金はUberより高いし、クレジットカードを出すと手数料が高いから現金でくれ、と言われるし、
チップの計算は慣れないから面倒だし・・・
一方でUberは、マップ機能を使って、迎えに来てもらう場所と行先を予め入力した上で乗車するので、
乗車してから運転手と会話する必要がありません。
決済も登録してあるクレジットカードで自動的に行われるため、そこでも会話する必要がありません。
どんなに近距離でも、了承の上で来ているので、遠慮する必要もありません。
流しのタクシーが走っていないような場所でも、呼べば数分で来てくれます。
何度も利用しましたが、運転手の一人はおそらく英語の話せないアジア人だったと思いました。
それでも、客と会話する必要がないので、支障はないのです。
Uberを何度も利用して感じたことは、こうしたビジネスモデルの大きな変化に伴い、
人材開発も戦略的に、将来の展望をしっかりと持って行っていかなければいけない、
ということです。
例えば、「外国人のお客様が増えているので、従業員は語学力を高めなければいけない」と考えたとしても、
テクノロジーの発展が進めば、Uberのように会話する必要がなくなるかもしれないのです。
語学力アップのための施策を打ったとしても、それは無駄な投資になるかもしれません。
このようなビジネスモデルの変化が良いか悪いか、という話ではありません。
法律の整備が・・・、保険が十分でなく・・などと、保守的な反応をして保身にエネルギーを使うより、
変化は自分のコントロールができないところで起きているという事実を受け止める必要があるのではないでしょうか。
ビジネスモデルの変化は、求める人材像や、求めるスキルセットに大きな影響をもたらします。
変化への対応は必須で、長期的視野、将来の展望をしっかりと持った人材開発が求められています。
二つ目の「モバイルラーニングやマイクロラーニングの波」について。
ATDでも大きな波となっていることは認識していましたが、こちらも改めてその広がりを実感しました。
モバイルラーニングやマイクロラーニングの是非や可能性を議論するフェーズはとっくに終わっていて、
どのように実践すればより効果がでるか、ということを皆が学ぼうとしている、と感じました。
ボブ・パイク・グループでも、マイクロラーニングに関する新しい研修を提供しています。
「研修はイベントではなくてプロセス」なので、研修の事前・事後課題にモバイルラーニングを活用する方法、
研修中に理解度を確認したり、参加者を巻き込むための手法としてモバイルを利用した演習のやり方、
研修中に講師が一方的に講義をすることを止めマイクロラーニングを取り入れて参加者を巻き込む方法、
モバイルを使ったオープニングやクロージングやエナジャイザー、など、様々なタイミングでの活用方法が紹介されていました。
講師の役割は「知識を伝える」ことではありません。
「知識を伝える」のが目的であれば動画を見てもらえば済みますよね。
集合研修で、時間や費用をかけて人が集まるのであれば、
「そうした場だからこそできること」をすることに意味があります。
見方を変えると、講師は「伝える」スキルではなく、
学びをデザインし、ファシリテーションするスキルがますます求められていることになります。
日本でも時々、トレーナー養成ワークショップの中でこの話題が出ることがあります。
中には取り入れて成果を出している企業もありますが、よくお聞きする声としては、
「まだ着手していません」「事前・事後課題であまり負荷をかけると、嫌がられます」「正直よくわからない」というのが大半です。
ビジネスモデルの変化をコントロールできないのと同様、このモバイルラーニングやマイクロラーニングの波も、
止めることはできないでしょう。良し悪しの議論や環境整備を心配するよりも、
現状で何をどう効果的に使えるかを考え、まずは小さく試しに始めてみてはいかがでしょうか。
人事や人材開発の世界では、「アメリカと日本には10年の時差がある」という言葉をよく聞きます。
皆さんはどうお感じですか?
3日間という短い期間でしたが、やはり現地に赴いて体感することは大切だと実感しました。
また機会を作って学びの場に足を運びたいと思います。
ここ数年参加していないATDにも、また行ってみてもいいかなぁ、とも思っております。
余談ですが、カンファレンス終了後にアリゾナに行き、ボブに会い、セドナにも行きました。
写真ではよく見る光景でも、やはりこの場所に身を置いたからこそ感じられることは大きいな、と
しみじみ思いました。
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