なぜオンライン研修では反応がわかりにくいのか?
オンライン研修を行っている講師の方からは、
「反応が見えない」
「リアクションがない」
「手応えがない」
という課題をよくお聞きします。
一方で、参加する側からは、
「つらい」
という声をよく耳にします。
講師側は、なんとか効果的な研修にしようと、いろいろと試行錯誤されているでしょうし、
工夫もされているはずですが、なぜなのでしょう。
根底にこんなことがあるのではないかと考えました。
これまで対面の集合研修を行う際に、講師はどうやって参加者の反応を把握したり、
リアクションを確認したりしていたのでしょうか。
- ● うなずくなどの反応を見て確認していた
- ● メモを取る様子などを見て確認していた
- ● 問いかけて、指名して答えてもらっていた
- ● 発言したそうな様子の人を指名して、発言を促していた
- ● グループワークやディスカッションの際は、様子を見回って把握していた
おそらくこうした方法で参加者の反応を確認していた方は多いのではないかと思います。
オンライン研修になってもこれらの方法は機能するでしょうか?
参加者のビデオ(カメラ)をオンにしてもらえば、その姿は見えます。
(ビデオはむしろオフにする勧めについてはこちらの記事をご参照ください)
ですが、上記のような確認は映像を通して確認するのはとても難しいでしょう。
指名して答えてもらうことは、機能的には可能です。
ですが、参加者からすると、対面の集合研修で発言するより、
オンライン研修で発言する方がハードルが高いと感じる方が圧倒的に多いのも事実です。
指名されて発言する。
聞いている、わかっていると表情でカメラ越しに講師に反応を示す。
わかったかどうかをジェスチャーで示す。
常時ビデオはオンで参加者や講師の顔がずらっと画面にならんでいる中で研修に参加している。
こうしたことがずっと続くと、
「つらい」という気持ちになるのではないかと想像します。
でもそもそも、指名して一人が発言して、それで理解の確認になるでしょうか。
20名参加者がいたとして、他の19名はどうなるのでしょう。
では、グループワークやディスカッションの際に見回って把握していたのは、
オンラインではどうなるでしょうか。
ブレイクアウト(少人数のグループに別れる)してディスカッションは可能です。
ですが、講師が全グループを見て回ることは難しいでしょう。
時間もかかりますし、さりげなく様子を見る感じにもなりません。
アシスタント講師のような方が各グループに1人ずつ入る、となると、
参加者側からすると、常に監視されているようで、これも「つらい」のではないかと思います。
ボブ・パイクの「参加者主体の研修手法」では、
対面の集合研修で、指名して発言を求めることは基本的に行いません。
講師と参加者の1対1の対話ではなく、参加者全員を巻き込む形を作ります。
図で表すと、このようになります。
問いかけ、個人で考え、それをペアやグループで確認してもらいます。
必要に応じてリーダーを決め、リーダーから全体にシェアしてもらったりします。
このプロセスを基本とすることで、一人ではなく全員を巻き込むことが可能になります。
ですがオンライン上では、これを毎回ブレイクアウトするということにはなりません。
オンラインならではの便利なツールを活用します。
例えば、画面にスタンプを押したり、書き込んだり、投票やアンケート機能を活用したりして、
全員を巻き込んでリアクションを確認しながら進めます。
チャットも活用しますが、チャットの場合、名前が表示されるため、
もっと気軽にリアクションしてもらうには上記の匿名性のあるツールの方が便利です。
ブレイクアウトも活用しますが、毎回すべてのグループの様子を見に行くことはせず、
自主的、主体的に運営できるよう場づくりをしていきます。
これまで対面で行っていたことを、オンラインでそのままやろうと試行錯誤するのではなく、
オンラインならではのツールをうまく活用して、全員を巻き込むデザインに変更する必要があると感じます。
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