大学教育学会第37回大会@長崎大学
6月6日・7日に長崎大学にて開催されました、
「大学教育学会 第37回大会」に参加してきました。
大学教育学会は、2年前に東北大学で開催された際に初参加、
その際は発表もしました。 ものすごく「アウェイ」な感じで心細かったのを覚えています。
しかもその時は、他の方の発表を見たりする機会もないまま、
いきなり自分のプレゼンテーションだったような・・・
今回は、純粋に参加者として参加しました。
2年前と比べると、「こんにちは!ご無沙汰しています!」と ご挨拶できる方も増えたのが嬉しいです。
ボブ・パイク・グループのカンファレンスや、 atdのカンファレンスでも、
参加回数を重ねるごとに そんな感覚を味わったなぁ、と懐かしく思い出しました。
それはさておき・・・。
私の今回の参加目的は、「アクティブラーニング」の動向を知ることでした。
文科省の打ち出した方針の影響で、今、大学ではホットなキーワードの 一つになっています。
私たちも、ボブ・パイクの「参加者主体」の研修の理論や手法を
大学の授業に取り入れていただくための支援をさせていただいています。
表現の仕方は少し異なりますが、本質は同じことなので。
学生さんが先生方の講義を聞く、という受け身の学びではなく、
考え、話し、自ら動く、という能動的な学びを、
どんな大学でどんな先生方がどう実践していらっしゃるんだろう、
そしてどんな成果や課題があるんだろう、というのを知りたかったのです。
様々な大学の先生のご発表を通して、たくさんの事例を聞くことができました。
とても大がかりなプロジェクトから、グルーピングのアイデアまで、
いろいろな事例がありました。
伺ったお話から私なりにまとめると・・・
アクティブラーニングの必要性は十分に認識されている。
一方的な講義にせず、個人ワーク、ペアワーク、グループワークなどを取り入れ、
学生さんが能動的に学ぶような工夫をしている。
うまくいっているケースもあるが、 ワークを取り入れれば学生が能動的になる、
というほど単純なことではないので、 苦戦しているケースや課題があるのも事実。
大学の先生は多くの場合、「教え方を学ぶ」という機会がないまま先生になっている
ので、これまでと異なる方法で教えるのであれば、
「教え方」の知識・スキルの習得が必要になるのは当然のこと。
だからFD(Faculty Development 教員育成)の重要性が高まっている。
授業計画、授業デザイン、ファシリテーション、などなど・・。
それをどう教える・学ぶか? 教える立場としての教員の皆さんをどう評価するのか?
これ、企業でも同様のことが起きていますよね。
社内のいろいろな分野の方が社内講師として登壇することになった、
というのと、とても近いと思います。
常々企業での研修で思っていることですが、
講義は講義、その後に何かワークを入れることで「アクティブ」にする、
と分断されていることが多いようなのも気になります。
教える方法として講義しかない、講義は一方的に話しても仕方ない、
ということではなく、それ自体をもっと能動的に学んでもらう方法があるはず・・・。
今回の学会でお話を伺っていても、そこにも可能性があるように思いました。
授業外活動と授業との連携も大きな関心の一つのようです。
反転学習が代表的ですが、 何を予習してきて、授業では何を行い、どう次の授業につなげるか。
これも企業での研修の事前課題と似ていると言えば、似ていますね。
でも大学は授業が15回続くのに対し、 企業での研修はそこまでのシリーズは珍しいとは思います。
そして、「アクティブラーニング」に取り組んだ結果として、
学生さんは果たしてより学び、成長しているのか? というのも多く議論されていました。
企業で言うと、いわゆる、「研修の成果・効果測定」ですね。
企業では業務に活かせる実践的な内容を教えているのに対し、
大学では、科目によっては、この課題はより難しいように思います。
成績、単位取得に関わる面は、企業にはない側面ですし。
・・ということで、異なる点ももちろんありますが、 共通だと確認できた点も多くありました。
共通部分があるということは、 私たちが行っていることを活用していただける場がある、
ということで、 それが再確認できたのも大きな収穫でした。
基調講演は、ジャーナリストの立花隆さんでした。
脳の観点から、考える、学ぶ、成長する、失敗から学ぶ、 ということをお話くださいました。
印象的だったのは、20代前半にはまだ脳は成人になっていない。 30代にかけて完成される。
人間の体が「食べたもの」で形成されるように、 脳も脳が「食べたもの」、
つまり、何を考え、経験し、学ぶか、 で形成されていく、とのこと。
ということは・・・ 社会人になって最初の数年で、
どんな仕事の仕方をし、 何を経験するかはその人の成長に大きく影響するということですよね。
クリエイティビティ、考える力、リーダーシップ・・・ そうした能力を育成するのは、
ある一定の年齢や役職になってから・・・
ではなくて、 新人のうちに脳を鍛えることがいかに大切か、ということかと思います。
若手こそ、脳を鍛えるような仕事を任せて、仕事を通して育成する!!
そして、来年はまた発表に挑戦する予定です!
芝浦工業大学などで活用していただいてることで、
どんな成果が出たかを発表したいと 思っています。
ということは、発表できるだけの成果を出さなければいけない! ということです。
来年が今から楽しみです!
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