「イマドキの若者は・・」
いつの時代でも聞く言葉だと思いますが、
「イマドキの若者は・・・」という表現。
この「・・・」の部分には、普通、ネガティブなことが入ります。
例えば、
「打たれ弱い」
「ハングリー精神がない」
「根性が足りない」
「チャレンジ精神がない」
「すぐ答えを聞いてくる」
「言われたことしかやらない」
などなど・・・。
こうした「イマドキの若者は・・・」という表現を使うことを、
私はあまり好ましく思いませんが、その一番の理由は、
ダイバーシティです。
ダイバーシティというのは、異なる存在を受け入れ、尊重し、相乗効果を発揮することを目指すのです。
先日参加した NeuroLeadership Summit でも、
ダイバーシティのある状況の方が人間のパフォーマンスが高まるという話がありました。
脳科学的にも根拠がある、ということです。
それが、日本では、ダイバーシティというと、女性活用だったり、
育児の支援制度のことだったりが話題になることが多いと思いますが、
本来はそんな限定的な概念ではありません。
ご参考までにWiKiから以下引用します。
***ここから***
多様性が企業の売り上げや発展に貢献し、競争力の源泉となるという考えに基づいている。
具体的には多様性に基づくマネジメントで優位性があるとされる分野に、コスト、資源の獲得、
マーケティング、創造性、問題解決、システムの柔軟性などが含まれている。
また、最近では事業の成長そのものを促す機会として認識されるようになっている。
個人、人間関係、そして組織といった3つのレベルを対象としている。
つまり、女性や少数派のみに適応を押し付けるのではなく、
組織文化やすべての人々がこのプロセスにかかわることが求められている。
特に会社のトップや人事担当者は、訓練や指導を通じて積極的に支援することが必要となってきている。
****ここまで*****
世代の違いに話を戻しますと、
世代の違いというのは、育ってきた時代の経済の状況、
テクノロジーの発展、受けてきた教育の方針などに影響され、
物の考え方や捉え方、価値観が異なることから起きてきます。
ですので、そもそも、どの世代が優れているとか、劣っているということではありませんし、
どの世代が正しい、とか、間違っているということでもないはずです。
そして、こうした「価値観の違い」ことダイバーシティだと思うのです。
デジタルネイティブ、と言う言葉があります。
ゆとり教育の時代がありました。
バブルの崩壊もありました。
こうした世の中の変化が、そこを生きてきた人の価値観に影響を与えるのです。
そのダイバーシティを「イマドキの若者は・・・」と否定するのではなく、
どうお互いに尊重し、相乗効果を発揮するかを考えたいものです。
価値観が異なる相手に自分を理解してもらうためには、
自分の価値観、考えを説明する必要があります。
言わなくてもわかることは、期待できません。
またコミュニケーションスタイルが異なる相手にも同様で、
自分のスタイルだけを押し通して、相手が変わることや
相手が自分を理解してくれることを期待するのではなく、
自分のスタイルも変える必要があるでしょう。
研修の場面でも、
物事をどう学びたいか、研修という場においてどんな立ち振る舞いをするか、
など世代によって異なる傾向にあることもあるでしょう。
すぐ答えを求める、のは、デジタルネイティブにとっては答えは考えるより探すもの、
その方が効率が良い!ということなのではないでしょうか。
部下や後輩育成についての悩みでも、
「根性がない」「打たれ弱い」「言われたことしかやらない」後輩にどう対応したら良いのでしょう、
など、よく耳にします。
「言われたことしかやらない」を見方を変えてみると、
「言われたことを着実に行うのが自分の責任、余計なことをしてかえって邪魔になってはいけない」
と思っているとしたら、すごく責任感が強く、周りに配慮できる人ですよね。
そう言えば、姪からこんな話を聞いたことがあります。
当時大学1年生だった姪(ゆとり世代です)が、アルバイト先に初めて出勤したときのことです。
出勤の際の持ち物として、Tシャツなどの着替えなど、指示があったそうです。
忘れ物のないようにチェックして出勤し、先輩に仕事を教えてもらう場面で、
その先輩から、「ノート持ってきてないの?」とあきれられたそうです。
先輩はおそらく、「忘れないようメモするのは当たり前なのに、持ってこないなんて、やる気あるの?」
と思ったに違いない、と。
でも指示の中に「ノート」は書かれていなかったそうです。
他のものは細かく指示されていたので、ノートがリストに入っていないということは、
マニュアルか何かがあってそれを使うんだろうな、と思って持って行かなかった、と。
「持ってこいって言うんやったら、そう書いてくれたらいいやん。初日やで。やる気ないわけないやん!」
と悔しがっていたのが印象的でした。
根性がない、打たれ弱い、ハングリー精神がない・・・と言いますが、
少人数の家族で大切に大切に育てられてきた世代に、
幼少期から大人になるまで、「打たれ」て「根性」を求められる場面がどれほどあったでしょうか?
おそらく「ハングリー」な状況なんてなかったでしょうから、
ハングリー精神の必要性がピンとこないのではないでしょうか。
部下育成の場面でも、研修の場面でも、
相手の価値観を理解し、競争力の源泉となるダイバーシティを
うまく発揮できるようにしていきたいものですね!
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