学習の第5段階の難しさ
学習のプロセスについて、
ボブ・パイク氏によると、5段階あります。
「クリエイティブ・トレーニング・テクニック・ハンドブック」第3版のp31~p32から引用すると、
以下の5段階です。
1.意識していないし、できない
2.意識しているのに、できない
3.意識してできる
4.意識しなくてもできる
5.意識しなくてもできることを意識レベルに落とし込む
レベル1~4の詳細は割愛しますが、5はこういうことです。
学習していることがらについて、知識もスキルも身につき、行うことができるのがレベル4なのですが、
それをさらに、他の人に自分が無意識に行動できることを説明することができる、という段階です。
その、レベル5が本当に難しいなぁ、と最近実感しています。
ご提供している「参加者主体の研修手法」については、
公開講座や社内開催の研修で学んでいただく他に、
ご参加いただいた方への個別コンサルティングも承っております。
何かと言うと・・・
実施している研修のデザインを見せていただいて、
時間配分、グループワークや演習の入れ方、オープニングやクロージングの工夫、
などをアドバイスさせていただいたり、アイデアをご提供したりするのです。
例えば・・・
この30分間、一方的な講義が続くデザインになっているので、
ここで区切って、こんなクイズを入れてみてはどうですか?
ここは理解を深めたいところなので、こんなワークをやってはいかがでしょうか?
などと、アイデアを出していくのです。
今年に入ってから、
社内講師の方々が準備されている研修資料を拝見して、そんなアドバイスを行ったり、
弊社の公開講座にご参加くださった方へのフォローアップとして、個別のご相談を受けたり、
という機会が続いていました。
そこでつくづく感じたのが、先ほど書いた、レベル5が本当に難しいなぁ、
ということだったのです。
お話を聞いていると、いろいろなアイデアが浮かぶんです。
中には、以前提供したアイデアを実践したところ、とても好評で、すごく印象に残っているらしい、
という後日談を聞かせていただいたアクティビティもあります。
でも、じゃあ、どうやったら、講師の皆さんが自力でこういうワークやアクティビティを
思いつくようになるのか?を説明することは、残念ながら、まだできません。
研修の組み立て(インストラクショナルデザイン)や、運営については、
かなりレベル5までできるようになってきたと思っています。
でもこの「ひらめく」「思いつく」は説明ができない・・・
ボブも、よくそんな質問されているのを見たことがあります。
「一体どうやったら、そんなにいろいろなアクティビティのアイデアが浮かぶんですか?」
それに対して、ボブは「昔どこかで見た光景や、読んで学んだ理論が、ある時急に結びつく」
というように説明していましたが・・・
私はどうなんだろう。
今のところ、やはりこれに関しては、レベル4にしか達していません。
いつの日か5に達したら、本にでも書きたいと思います。
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