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オンライン研修のプロデューサーの役割

オンラインで研修を行う際、とても大切な役割を担うのが「プロデューサー」です。
講師が研修の内容とファシリテーションに集中し、研修をスムーズに進行するためには、欠かせない存在です。そこで、プレデューサーとは何をする人なのか、どんな風に講師とコラボレーションするのかをまとめてみます。

まず、イメージをつかんでいただくために、対面集合研修に置き換えて考えてみます。

例えば、皆さんが公開講座を開催するとします。その場合、講師が一人ですべての対応を行うでしょうか?それとも、スムーズな進行のために他のメンバーに依頼したり、分担したりするでしょうか。おそらく、下記の業務はどなたかに担当してもらうことが多いのではないでしょうか?

 

事前準備
〇 告知
〇 申し込み対応など当日までの受付業務
〇 教材手配
〇 会場手配
〇 事前課題や当日の案内を送る

当日のサポート
〇 会場設営・対応
〇 受付業務
〇 お弁当やリフレッシュメントの対応
〇 参加者対応(会場案内など)

終了後
〇 メールなどでフォローアップする

もちろん、状況によって講師がこれらの業務を自ら行うこともあろうかと思います。ですが、例えば20名の参加者がいる公開講座で、これをすべて講師が一人で行うという発想はあまり現実的ではありません。

ではオンラインではどうでしょうか。告知や申し込み対応など集客・受付は別で考えるとして、運営のことに焦点をあてます。オンラインでは次のように置き換えて考えることができます。

〇 会場手配 → プラットフォームの機能・ツール確認、準備
〇 会場設営・対応 → プラットフォームの当日の運営
〇 当日の受付業務 → 参加者のログインのサポート
〇 お弁当やリフレッシュメントの対応 → これは該当しない
〇 参加者対応(会場案内など)→ ツールの使い方のサポートなど
〇 終了後のメールなどでのフォローアップ → 同様のフォローアップ

対面集合研修同様、これらをすべて講師が一人で行おうとするのではなく、分担してもらった方がずっとスムーズなのはイメージしていただけるのではないでしょうか。

例えば、対面集合研修で、途中で気分が悪くなった方がいたとしましょう。どう対応しますか?講師がその方のケアをしようとしたら、研修が中断してしまいますよね。その場合、他のメンバーが、会場側のスタッフさんと連携してサポートしてさしあげるでしょう。オンラインの場合、インターネットの状態が不安定で、途中で落ちて戻ってくる方へのケアがそれにあたるのです。そういう方へのケアをしてくれる人がいて、安心して任せられるからこそ、講師は内容とファシリテーションに集中できます。

また、プラットフォームについても、普段よく使うものであれば講師も運営に慣れるでしょう。ですが、クライアントによって異なるプラットフォームを使うことをリクエストされることもあります。その場合、プラットフォームの機能・ツール確認、外部アプリを使うのであればその準備などは、プロデューサーにお任せできるのがベストです。例えば私の場合、ZOOMを最もよく使うのでかなり慣れましたが、リクエストでTEAMSなどを使うこともあります。その場合、クライアント側の設定によりいろいろと制限がかかっていたり、状況が異なります。また、外部アプリを多く使うのでその動作確認や準備もあります。それらを私が全部行うのではなく、お任せできることで、私自身は研修内容の準備に集中できるのです。普段使う会場であれば勝手がわかりますが、初めて使う会場は下見がしたかったりするのと同じ感覚でしょうか。

今年5月から本格的に始動したオンライン研修で、弊社では以下のようなことをプロデューサーに担当してもらっています。

〇 メインのプラットフォームの設定、制限の確認など準備、リハーサル
〇 メインのプラットフォーム以外に外部アプリを使用する際の準備
〇 メインのプラットフォームが快適に使えているかのモニター、トラブル対応
〇 参加者のログインサポート
〇 ブレイクアウトの設定
〇 ブレイクアウトとメインルームの間の移動のサポート
〇 メインのプラットフォーム以外に外部アプリを使用する際の運営
〇 ツールの使い方がわからない方への個別サポート
〇 インターネット環境が不安定な方への個別フォローアップ
〇 ツールの使い方などテクニカルな質問への対応
〇 場面によって、講師が内容に集中できるよう、スライド操作
〇 チャットに記入されたコメントなど、講師が全部読み切れていない場合の対応
〇 後にシェアするスライドやホワイトボード、チャットデータの保存
〇 チャットの内容やシェア・保存したデータをシェアする

公開講座ではなく、社内開催の場合、社内のご担当者様に一部の役割を担っていただくことも可能でしょう。クライアントのプラットフォームを使用する際には、ログインやブレイクアウトなどお任せした方がスムーズなことも多いものです。ですが、ご担当者様は必ずしもテクノロジーに詳しいわけではなかったり、研修内容に精通しているわけでもなかったりします。こちらが使おうと準備しているアプリなどは、こちら側のメンバーが運営することが必要になってきます。ですので、講師とプロデューサーで組んで対応することで、スムーズな運営が可能になります。

社内開催で、参加人数が5~6名など少ない場合は講師一人でも対応可能なこともあります。ですが、10名を超えるような場合は、プロデューサーは必須です。

つい先日、そんなプロデューサーの存在に心の底から感謝した出来事がありました。

ある日、社内開催のオンライン研修中に、私の自宅すぐ近くの消防署から、けたたましいサイレンと、大音量のアナウンスが響き渡りました。どうやらJアラートの試験放送のようです。あまりに大音量でしたので、自分の音声をミュートにし、「サイレンが鳴り響いています」とチャットで皆様にまず様子を伝えました。そして数秒様子をうかがいましたが、試験放送ですので、同じ内容を繰り返すことが予測できました。休憩を取るタイミングではなく、ブレイクアウトも予定しておらず、個人ワークでもなく、私が話をする場面でした。2分?3分?沈黙で待っていただくのもよくない・・・ そこで、スライドを次のページに進めてみました。すると、状況を判断したプロデューサーが、そのスライドで私が行うであろう説明を行い、話をつないでくれたのです。試験放送が終わり、私が音声を復活させるまでの2分間ほど、見事に場を進めてくれました。

こんな緊急の対応は、研修内容を理解してくれているからこそ可能です。そして何より、状況を的確に判断し、研修の運営をスムーズに行うための、本当に素晴らしいサポートに心から感謝しています。

このプロデューサーという業務、研修の急激なオンライン化によって新しく生まれた職業のように思います。AIにとって代わられたり、自動化で必要なくなる職業も多いと言われる世の中ですが、新しいニーズに対応するために新たに生まれる職業もありますね。

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