大学の授業におけるボブ・パイクの『参加者主体の研修手法』の展開
先週は、
四国地区大学教職員能力開発ネットワーク(SPOD)のフォーラムで
「トレーナー養成ワークショップ」の内容で講座を担当させていただきました。
http://www.spod.ehime-u.ac.jp/
このSPODで担当するのは今年で4年目。
参加者は四国を中心に、
全国で高等教育に携わっていらしゃる先生、や、職員の皆様。
短く言うと大学の先生が主です。
大学での教育も、「何を教えたか」から
「学生が何が身についたか」が
問われる大きな転換が迫られているということで、
一方的に講義をするだけの授業ではない手法に
ご興味をお持ちいただいている、というわけです。
今年で4回目、ということで、
今回は、以前にご参加いただいた方に、
その後の実践の様子をヒアリングさせていただく機会を設けました。
学生も社会人も差はないですね・・・
ということが大半だったのですが、
学生ならではの反応もあり、とても勉強になりました。
例えば、
授業の中でのグループディスカッションなどへの
貢献はどう評価されるのか?を気にする。
評価されないことには熱心にならない。
というのです。
最終的には、単位を取れるか、どんな成績がもらえるか、
が学生にとってはとても大切なことです。
毎回の授業でのグループディスカッションなどへの貢献が
評価項目に入っていたら、がんばって積極的に参加するけれど、
評価項目に入っていないのであれば、そこはあまり積極的でなくても、
最終的にはテストでがんばればいいんですよね?
という心理が働くというのです。
例えば、授業中にどれくらい発言したか、
どんな内容の発言をしたかを何らかの方法で記録し、
それを最終評価に反映させるか、ということです。
なるほど、ごもっとも。
先生方とお話している中で私も整理できたのですが、
ボブの参加者主体の手法は、
研修中の貢献度合いを評価しようという目的のものではありません。
最終目的の達成、習得に向けてのプロセスを、
いかに効果的、かつ、効率的、そして何より楽しくするか、
を追及しているものです。
つまり、最終的な評価・成績に対して、間接的な影響は与えると思いますが、
授業中の貢献を評価する目的に直接的に使おうと思っても、
うまい解決策が見つからないようです。
でも学生は評価を気にする。
ですので、積極的に参加することのメリットを、
成績以外で感じてもらえるようにするにはどうしたらいいのだろう?
「結論」と言えるほどのものは出せなかったのですが、
*授業がおもしろいと感じてくれる
*学んだことを憶えている
*受け身の姿勢から能動的な姿勢への転換
*そういったことの結果として、習得に成果が出ている
といったことを体感してもらえれば、という話になりました。
別のご意見で勉強になったのは、
周りの人とのコミュニケーションを取ることが難しい学生についてです。
グループディスカッションなどの場面で、
なかなか発言したり、周りと関わることができない学生がいる。
これは難しい問題である一方で、
これまでの「一方的な講義」を続けていたら見えてこなかったかもしれない
事実であって、浮き彫りになったからこそ、
対策を講じようとできているのは、いいことだ、とおっしゃってくださっていました。
まだまだ他にもいろいろなお話を伺うことができ、
とても有意義な時間になりました。
同じ手法の活用でも、企業と大学、企業人と学生、
普段とは異なる世界でご活躍の皆様からのお話は、
とても刺激的で、新しい視点があり、
本当に勉強になりました。
4年前、初めて担当させていただいたときは、
「大学の先生は大学の先生じゃない人のことを受け入れてくださるのか?」
と、未知の世界にドキドキしていました。
でも今年も、事前申し込みで満席になるお申し込みをいただき、
当日も、私自身もとても楽しく過ごさせていただきました。
今後もこのご縁を大切に、
もっとこの分野に貢献していきたいな、という気持ちを新たにしました。
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